ごはんとパン、どちらが痩せる?
少し前まで、「ごはんを食べると高血圧なる」とか「ごはんは太る」「ごはんを食べると胃ガンになる」などと言って、ごはんはずいぶんと悪者扱いをされてきました。
たしかにごはんを食べるとどうしても塩からいおかずが必要になり、そのために塩分摂取量がふえて高血圧を起こしやすくなるということは言えます。
しかし、それはあくまでもおかずの問題であって、ごはん自体は高血圧とは直接関係はないのです。
その他の理由も同様に根拠のないものばかりなのですが、長くつづいた俗説の影響か、最近は一日に一回は必ずパン食という家庭も多いようですし、若い人の場合は、ごはんをまったく食べない日も珍しくないようです。
実際、お米の摂取量も年々減りつづけています。
しかし、逆に海外、特にアメリカではごはんを食べる人がふえていて、1982年に出された食生活の指針では、健康のために食事にごはんを取り入れることをすすめています。
パン一枚(六枚切りのもの)と茶わんに軽く一杯のごはんを比較した場合、栄養的にはほとんど違いはありません。
しかし、水分量の違いのせいでパンではなんとなく腹もちがしない感じがします。
そこで副食を多くとったり、ジャムやバターをたっぷり塗って食べることになり、パン食のほうが知らないうちにカロリーオーバーになってしまうことが多いのです。
アメリカでは高脂肪食化がもたらす肥満の多発や、心臓病、糖尿病の増加などの問題が深刻化して久しくなります。
そこで、脂肪やコレステロールのとりすぎにつながるパンやじゃがいもではなく、ごはんを食事に取り入れることによって、エネルギーの過剰摂取を抑えようという指針が出されたのです。
両者の間にはそれほど大きな違いはありません。
けれども、ごはんやパンを単独でとっている場合は、栄養のアンバランスが起こりやすくなります。
両方とも糖質が主成分で、タンパク質や脂肪、ビタミンなどの栄養素の含有量が少ないからです。
糖質は消化器で分解されてブドウ糖になり、最終的には細胞内で燃やされてエネルギーを生み出すたいせつな栄養素ですが、とりすぎると太りすぎの原因となります。
タンパク質の含有量についてみると、肉や魚などには100グラム中20グラム前後含まれているのにくらべて、ごはんは100グラム中2.6グラム、パンは同じく8.4グラムというように、ずっと少なくなっています。
ごはんとパンを比較した場合、パンのほうが3倍以上のタンパク質を含んでいるので、その点ではパンのほうがすぐれています。
しかし、タンパク質の質の面では米のほうがすぐれているのです。
それぞれのタンパク質の質は、一般にプロテインスコア(タンパク価)というあらわし方で評価します。
プロテインスコアが高いということは、必須アミノ酸の含有旦里がそれぞれつり合いがとれていて、しかも比較的たくさん含まれているものを言います。
そしてプロテインスコアが高いタンパク質ほど、体内での利用率も高くなります。
たとえば卵のタンパク質は、どの必須アミノ酸もバランスよく含まれているので、プロテインスコア100と算定されています。
前に、血中コレステロール値が少しぐらい高くても、卵は食べたほうがよいと述べた理由の一つは、卵の栄養価がこのようにすぐれているからです。
卵にくらべると、ごはんのタンパク質のプロテインスコアは74、パンは44となっていて、かなり劣ります。
いずれも必須アミノ酸のうち、特にリジンが少ないのでこのような値になっています。
いろいろな食品のタンパク質は、それぞれアミノ酸の組み合わせが違います。
したがって、ある食品のタンパク質にはある必須アミノ酸が少なくても、別の食品のタンパク質にはそれが多く含まれていることもあります。
そこで、幾つかの食品を組み合わせることによって、それらのタンパク質のプロテインスコアを高くすることができます。
ごはんやパンには、卵や肉、魚、大豆や大豆製品を組み合わせるとよいのです。
たとえば食パン一枚(50グラム)に卵2個とハム1枚を加えれば、プロテインスコアは九七と約2倍に高まります。
ですから、ごはんやパンには、卵や肉、そして野菜などのおかずを十分に添えることが必要なのです。
朝食がいつもパンとコーヒーだけとか、ごはんにみそ汁だけとかいうのでは困ります。
卵や納豆やサラダやお浸しなどを加えれば、ずっと栄養価の高いすばらしい食事になるのです。
ということは、ごはんもパンも、副食のとり方しだいということなのです。
ですから、この点を改善しさえすれば、どちらもすぐれた主食として評価することができます。
洋食だけ、和食だけというのではなく、バランスよくどちらもとるようにしましょう。
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