ハーブの香りがアルツハイマーや認知症を改善する
人の意識・情動に効果を及ぼす他のハーブについて、もう少し補っておきましょう。
睡眠防止、覚醒効果のあるハーブとしてハッカ、ユーカリ、レモン、ベルべナ、シトロネナ、サルビア、タイム、クローブ、ローズマリー、ヒソップ、バジル等があります。
抗うつ、抗不安の作用のあるハーブとしてラベンダー、ベルガモット、レモン、マジョラム、ローズマリー、クラリーセージ、ペパーミント、バジル、ローズ、ジャスミン、ナツメグ、シナモン、クローブ、ジンジャー、セントジョーンズワート等が挙げられます。
ローズマリーのようにいくつかのハーブが重複していますが、他のハーブについても今後の研究により、変更されることがあります。
また、香りに関しての好みは、人種や年齢の差によって違いがあるようです。
たとえばアメリカ人の場合、バラの香りに食欲をそそられるのはわずか6%ですが、インド人では約27%を示すといいます。
これはインド人が日常で習慣的にローズウォーターを使用し、インド料理にバラの香りを使用しているためかもしれません。
年齢的には、若年層はフローラル系によって鎮静効果を与えられ、中年層は木の香りによって鎮静効果を与えられることが知られています。
20歳代の女性にフローラル系の香りと木の香りを口臭いでもらったところ、フローラル系の香りのときには皮膚温が上昇しました。
すなわち交感神経の緊張が緩和され、ストレスの解消がみられたことになります。
一方、木の香りのときには皮膚温の上昇はみられなかったという報告があります。
一般に、人が「匂い」を口臭いだ直後には、大脳に流れる血液の量が安静にしているときよりも減少しますが、時間が経つとともに脳の血流量が増えて脳の機能が元進します。
脳の機能が亢進するということは記憶中枢である海馬の活動も活発にすることにつながりますがら、当然のようにハーブなどの香りが認知症予防に効果を発揮することになります。
では、ローズマリーというハーブの成分がもつ認知症予防の効果について説明してみましょう。
ローズマリーの成分としてはカフェイン、カンファー、ボルネオール、リナロール、シネオールがあります。
カフェインはコーヒー豆に含まれるカフェタンニンがよく知られていますが、ローズマリーはシソ科植物のためカフェタンニンではなく、シソ科タンニンを多く含んでいます。
このシソ科タンニンの主体はロスマリン酸と呼ばれる物質で、ロスマリン酸は医薬の工ンサンメチルフエンデート(商品名リタリン/発売元ノバルテイス)に類似しています。
この薬は温和な精神活動ならびに運動元進作用を示し、臨床上は覚酉星、疲労感の減少などがあります。
アンフェタミン(覚せい剤の一種)と同じような作用がありますが、アンフェタミンの特徴の一つである食欲抑制作用、未消交感神経興奮作用はありません。
カンファーには局所刺激、中枢神経興奮作用ならびに狭心作用が認められています。
リナロールはモノテルペノイドと呼ばれる構造をもち、鎮静、鎮痛、神経調整、催眠剤のいくつかの薬とその構造がよく似ています。
シネオールの構造は、西洋バツカの香気成分であるメントフランに近く、メントフランはその構造が医薬品プロントフィリン(商品名へキストール/発売元ヘキストジャパン)に類似しています。
ヘキストールという薬は、神経成長因子を正常の10倍以上に増加させて、脳虚血によって低下した脳血流量やグルコースの取り込みを回復します。
臨床的には脳循環改善、脳エネルギー代謝改善、学習記憶障害を改善する薬として期待されています。
しかし、それ以上に注目されるのは脳神経細胞の壊死、とくに記憶、そして痴呆の発症の原因とされる海馬およびその領域の細胞壊死を抑える作用が実願によって認められていることです。
以上のように考えると、覚醒、鎮静効果のあるローズマリーなど一部のハーブは、海馬を中心とする部位に作用し、痴呆発症の予防効果が期待できると思われます。
ただし、自然の植物から抽出する有効成分は、酸化などの化学変化、構造変化が避けられないこともあり、その治癒効果についてはあくまでも推定の段階にとどまっています。
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