アンチエイジングに不可欠な食生活の改善
食生活を改善すれば生活習慣病の70%を予防することができます。
遺伝の要素はゼロではありませんが、遺伝の要素よりはるかに食事や煙草を含めた生活習慣の影響が大きいのです。
子宮がんや乳がん、大腸がんがこの20年間に倍増していますが、その理由は脂肪の摂取が倍増していることにあります。
昔、御飯に味噌汁だった食事が、いまは西欧風にパンにバターを塗ってコーヒーにベーコンエッグです。
魚や野菜中心の日本食よりも肉類を食べる人が増えました。
この食生活の変化だけで、乳がんと大腸がんが倍増しているのです。
遺伝的要素だけで、これらのがんは倍増したりはしません。
悪性の脂肪分は摂っていないと思っていても、知らないうちにかなりの量を食べているものです。
実は、アメリカでサプリメントの摂取が急速に普及した理由の一つとして「食生活の改善」が挙げられます。
アメリカのサプリメントの歴史は1975年のマクガバンレポートから始まりました。
当時のアメリカ人は「栄養状態の悪さ」が指摘されていました。
先進国アメリカの「栄養状態の悪さ」とは、栄養失調とは逆の栄養過多を指します。
アメリカ人の食事量は多く、デザート類もがなり甘くつくられています。
さらにドーナッツやハンバーガーなどのファストフードは高カロリーです。
つまり、カロリーは必要以上に摂っていても、エネルギー代謝を高めたり、細胞の新陳代謝を高めるビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足しています。
そして、ストレスも大量にビタミンを消費するため、アメリカ人はかなりのビタミン、ミネラル不足ということになります。
アメリカ人は摂取する食物の悪さのために健康を損なっていたのです。
多量に摂取する動物性たんぱく質や脂肪、過剰な砂糖の摂取、食品涼加物が大量に含まれているジャンクフードなどが肥満・糖尿病・高脂血症・高血圧・痛風・がんなどの原因となり、生活習慣病を引き起こす人も毎年増えるばかりの状況でした。
こうした状況下で、アメリカ上院の栄養問題特別委員会において、アメリカ人の栄養摂取の問題を指摘した「マクガバンレポート」が発表されました。
このレポートでは、アメリカを含む先進国に多い心臓病、脳卒中、糖尿病、肝硬変、動脈硬化などは間違った食生活によって起きることをデータによって裏付けました。
そして自然に近い食生活をし、病気を減らす国民運動を展開しようと訴えました。
アメりカ人の食生活に警鐘を鳴らしたマクガバンーレポート
1977年、アメリカ上院栄養問題特別委員会は5000ページにも及ぶ膨大なレポートを発表しました。
それがマクガバン・レポートです。
当時アメリカでは心臓病の死亡率が1位で、がんは2でしたが、心臓病だけでもアメリカの経済はパンクしかねないと言われるほど医療費が増大していました(1977年当時で約25兆円)が、この財政的危機を打開することも医療改革が進められた理由の一つでしたし、アメリカ政府は、医療改革の一環として上院に「国民栄養問題アメリカ上院特別委員会」を設置し、全世界から選抜した医学・栄養学者を結集して「食事(栄養)と健康・慢性疾患の関係」についての世界的規模の調査・研究が7年間の歳月と数千万ドルの国費を投入して行ないましたが、それを「上院レポート」、または委員長の名前をとって「マクガバン・レポート」とも呼んでいます。
医療費の破たんを懸念して作成されてレポートでしたが、調査会の委員長であるマクガバン氏は、「どれほど巨額の医療費を注ぎこんでも、それで国民が少しでも健康になれればいい。しかし事態はまったく逆で、このまま推移すればアメリカの国そのものが病気のために破産してしまうだろう」という深刻な事態があったわけです。
そのマクガバン・レポートは、「心臓病をはじめとする諸々の慢性病は、肉食中心の誤った食生活がもたらした(食原病)であり、薬では治らない」と決めつけ、さらに「われわれはこの事実を率直に認めて、すぐさま食事の内容を改善する必要がある」として、7項目の食事改善の指針を打ち出しました。
その内容を要約すると、高カロリー、高脂肪の食品、つまり、肉、乳製品、卵といった動物性食品を減らし、できるだけ精製しない穀物や野菜、果物を多く摂るようにと勧告しています。
また、マクガバン・レポートを補足する形で発表されたのが「食物・栄養とがん」に関する特別委員会の中間報告ですが、そのレポートでとくに注目されるのは「たんぱく質(肉)の摂取量が増えると乳がん、子宮内膜がん、前立腺がん、結腸・直腸がん、胃がんなどの発生率が高まる恐れがある」とし、「これまでの西洋風な食事では脂肪とたんぱく摂取量との相関関係は非常に高い」と述べていることです。
そして、最も理想的な食事は元禄時代以前の日本人の食事であることが明記されていますが、元禄時代以前の食事というと、精白しない穀類を主食とした季節の野菜や海草や小さな魚介類といった食事内容になります。
このレポートが発表されたとき、アメリカ国内はもちろん、全世界はショックを受けました。
こうした背景もあって、欧米では「日本食=健康食」というイメージが広がっていきました。
マクガバン・レポートで示した食事改善目標は以下の通りです。
(1)でんぷん質を現在のカロリーの46%から55〜60%に引き上げなさい。
(2)脂肪分は現在のカロリーの約40%から30%に減らしなさい。
(3)動物脂肪も植物脂肪も減らすが、それは前者がカロリーの10%、後者が20%になるようにして1対2の割合にしなさい。
(4)コレステロールを1日300mgに減らしなさい。
(5)砂糖消費は40%減らしてカロリーの15%までにしなさい。
(6)塩の摂取も50〜85%減らし1日3gにしなさい。
現在でも、このマクガバン・レポートはアメリカの正食運動の源となっています。
1983年に農務省長官の諮問機関として創設された食事ガイドライン委員会は、マクガバン・リポート以後の新しい研究を踏まえ、食事改善目標をより実行しやすい形にする補完作業を続け、その指針の一つに、食べる食品の種類を多くという項目も加えて次のように述べています。
「人間の生存及び健康維持のためには40種類以上の栄養素が必要である。
つまりいろいろな種類のビタミン、ミネラル、アミノ酸、必須脂肪酸などがそれである。
またエネルギー源としての炭水化物、脂肪、たんぱく質も必要である。
これらの栄養素はバランスのとれた食事によって摂取されるものであり、そのためにはいろいろな種類の食品を食べる必要がある」
いわゆる食品のバランスをとりつつ、多種類にすることが推進されることになりました。
1985年、日本においても厚生省(当時)も「健康づくりのための食生活指針」で1日30品目と盛り込むこととなりました。
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