固い食べ物の効用
皆さんは「よくかんで食べる子は頭がいい」とか「歯の丈夫な高齢者は痴呆症にならない」ということを聞いたことがあるのではないでしょうか。
ある実験で、食前食後のマウスの脳の様子を調べたところ、食後のほうが脳全体の活動が盛んであることがわかりました。
特に記憶をつかさどる海馬という部分が活性化していたのです。
また、別の実験で、人がガムをかんだときの脳の様子を観察したところ、かまないときにくらべて脳のさまざまな部位で血管の中を流れる血液の量がふえていることがわかりました。
なかでも大脳皮質の一次感覚野では、30%近くも血流量がふえていたのです。
血管は細胞一つひとつに酸素や栄養を運ぶパイプです。
その中の血液の量がふえたということは、脳の細胞にたくさんの酸素や栄養を運ぶことができるということにほかなりません。
車の運転中にガムをかむと眠気覚ましになるというのには、こういう理由があったのです。
運転中の一時的な効果だけではなく、毎日の食事のたびに歯ごたえのあるものをよくかんで食べた場合、脳に送られる血液の量はあまりかまない人とくらべると、何倍も多くなることがおわかりになるでしょう。
かむことによって記憶をつかさどる海馬が活性化し、脳細胞へたくさんの栄養が行き渡るということは、記憶力や頭の働きがよくなるということです。
噛む効用
かむということには、このほかにもさまざまな効果があります。
主なものだけでも簡単に紹介すると、よくかむと、脳にある満腹中枢に速く信号が伝わるため、少量の食事でも満腹感が得られ、過食による肥満を防ぐことができます。
また、かむために口やあごを動かすことによって顔の筋肉と骨が鍛えられ、顔や口元のしわやたるみも予防することができるのです。
かめばかむほど唾液が分泌されるわけですが、唾液には口の中のバイ菌を洗い流す役割があるため、虫歯を予防することができます。
また、唾液の中の酵素には味覚神経を敏感にする働きがあるため、食べ物をよりよく味わうこともできるようになるのです。
もちろん、よくかむと食べ物の消化もよくなります。
かむという行為には、こんなにもたくさんの効果があるのですから、食事には十分な時間をかけ、ゆっくりとよくかんで食べるようにしましょう。
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