正月はなぜ太るか
肥満外来の医師たちは、患者の指導をはじめるときには、できる限り正月やお盆などを間に挟まないようにしています。
せっかくある程度減量に成功しはじめた患者さんが、正月が明けて再び病院に来たときには、またもとの体重に戻っていたということがよくあるからです。
皆様のなかにも、正月に二〜三kg太ってしまい、その後、なかなかもとに戻らず困ったという経験をもっている人もいるでしょう。
こうした正月太りには、二つの原因があります。
まず一つは、食べ過ぎ。
摂取カロリーの過剰です。
多くの家庭では、年内のうちに食料品を買い込み、正月料理の準備にとりかかります。
そのため、正月前後は常に食べ物が手の届くところにある状態となり、我慢できずに手を伸ばしてしまうのです。
たとえば、ダンボール箱ごと買っておくみかんは、放っておけばいたむこともあり、手を出しがちです。
しかし、中くらいの大きさのみかんは三個でご飯半杯分のカロリーをもっているのです。
また、おせち料理のほとんどが高カロリーなので、たとえ間食を我慢したとしても、これだけで過剰摂取になる場合があります。
ご飯一杯は一六〇キロカロリーですが、赤飯になると三〇〇キロカロリー、お餅は二切れでご飯一杯半分のカロリーになります。
きんとんに入っている栗は、ゆでただけなら一〇〇gで一五七キロカロリーですが、甘く煮ると二三七キロカロリーになります。
黒豆もゆでただけなら一〇〇gで一八〇キロカロリーですが、甘く煮れば二八九キロカロリーなのです。
食料事情が今とは違う昔は、正月のおせち料理はたいへんな御馳走でした。
年に一度くらい、このような高カロリーの食べ物を食べても、肥満につながることはなかったでしょう。
ところが現代のように普段から栄養豊かな御馳走を食べている時代にあっては、おせちの高カロリーは、肥満にすぐ跳ね返ってきてしまうのです。
正月が太る原因のもう一つが運動不足。
正月休みを家でゴロゴロと過ごしている人は、普段に比べて消費カロリーが約三分の二から二分の一に減少しています。
運動不足は消費カロリーを減らすだけではなく、余分なカロリーを脂肪に変えて蓄えやすい体質にもしてしまうのです。
正月早々ジョギングというのも大変ですし、おとそやお酒の入った状態で運動したのでは、心臓や血圧にもよくありません。
そこで、少し遠くへ初詣に出掛けるとか、なにか理由をみつけてできる限り体を動かすよう工夫しましょう。
食べ過ぎと運動不足のダブル攻撃による「正月太り」を防ぐには、普段より少なめに食べ、いつもの休日よりも積極的に体を動かすことです。
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