どのくらい太ったら危険なのか?
肥満というと、若い人たちはもっぱらスタイルのみ問題にしているようですが、私たち医師は、肥満の人の健康面を問題にします。
その昔、致命的な病気といわれていた結核のような、細菌感染による消耗性疾患が、衛生および栄養の改善により克服された現代では、生活習慣病と呼ばれるものがもっとも重大な死につながる疾患になってきました。
生活習慣病の中で、糖尿病、高血圧、痛風、高脂血症などは肥満と深い関わりがあり、三大死因のうちの脳卒中と心筋梗塞の危険因子とされています。
もう一つの大きな死因であるガンは、肥満とはあまり関係がないと考えられていましたが、最近、子宮ガン、前立腺ガン、乳ガン、大腸ガン、胆道ガンなどは、肥満の人のほうが正常な体重の人よりも、かかりやすいことがわかってきました。
このように、肥満は生活習慣病に結びやすく、健康面から肥満対策を考えなければならないわけです。
それでは、どのくらい太ると生活習慣病にかかりやすくなるのでしょうか?
肥満は、標準体重に対する過剰体重のパーセントを肥満度として判定します。
肥満度は次のような式で計算されます。
肥満度=(実測体重−標準体重)/標準体重×一〇〇(%)
肥満度がプラスマイナス一〇%なら正常ですが、三〇%を超えると、多くの人が糖尿病、高脂血症、高血庄、脂肪肝、胆石症、不妊症など、肥満に伴う病気にすでにかかっていることが、日本でも外国でも統計上明らかになっています。
したがって、肥満度が二〇%を超えると、生活習慣病にかかる恐れが出てきます。
また、糖尿病、高血庄、痛風、高脂血症などの生活習慣病は遺伝の影響が強い病気です。
身内にこれらの生活習慣病の人がいる場合は、肥満度が二〇%を超えたら真剣にダイエットに取り組むことをお勧めします。
日本肥満学会でも肥満度二〇%以上を肥満として、その対策をはじめることを勧めています。
また、身内に生活習慣病の人がいない場合でも、肥満度が三〇%を超えたら、すでに生活習慣病にかかっている可能性があります。
とくに四〇歳以上の人は成人病の検査を受けることをお勧めします。
もし生活習慣病にかかっていなかったら、生活習慣病予防のためにさっそくダイエットに取り組むことです。
ところで一般的な肥満とは別に、病的な肥満のことを「肥満症」といいますが、このような人には、(1)肥満が重症で日常生活が阻害される、(2)肥満に基づく生活習慣病などの病気が合併する、(3)肥満のために死亡率が高まる − などの状態が考えられます。
肥満度から見ますと、(1)に当てはまるのは七〇%以上、(2)(3)に当てはまるのは三〇%以上が目安です。
肥満度が七〇%を超えるところまで太ってしまうと、自分一人だけで減量することは難しく、入院して専門的な治療を受ける必要があります。
しかし、肥満度三〇%程度の人ならば、きちんとしたダイエットさえ行えば、自分一人で減量することは十分可能です。
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