良性ストレスと悪性ストレス
セリエが初めてストレス学説を唱えたとき、ストレスは心身にとって百害あって一利なしと考えられていました。
しかし、後々になってストレスはすべてにおいて有害無益なものではなく、人間が生きていくためには必要不可欠なものだという考え方が支持されるようになりました。
たとえば遊園地でジェットコースターに乗るとき、私たちの体はストレス刺激を受けたときと同じような興奮状態にあります。
お化け屋敷で怖い思いをしたときも体はストレスを受けたときと同じような反応を起こしています。
このように、私たちが娯楽としてスリルやゲームを楽しむとき、わざとストレス反応を引き起こしているのです。
興奮が高まってくるとアドレナリンが大量に分泌されて気分は高揚し、痛みや不快感を伴うストレス刺激とはまったく逆の心地良いストレスを受けています。
つまり、ストレスには良性のストレスと悪性のストレスがあるといえます。
良性で適度なストレスは良い意味での発奮材料となってモチベーションを高め、普段より大きな力が発揮できるものです。
良性のストレスは物事を遂行するときの励みになり、良い結果を生むことがあります。
一方、悪性のストレスは気分を沈ませ、日常生活や仕事にまで悪影響を与え、ひいては病気や障害の原因ともなってしまいます。
では、良性のストレスと悪性のストレスはどのように区別すればいいのでしょうか。
良性のストレスとは、体が適応できる範囲内のストレス刺激で、ホメオスタシスの維持が十分に機能し、日常生活や仕事になんら支障のないものです。
もちろん痛みや苦痛を伴いません。
一方、激しいストレス刺激が非常に長い期間続くようなものは悪性ストレスといえます。
このタイプのストレス刺激は体の適応力を超え、ホメオスタシスさえ失ってストレス病の原因になります。
良性、悪性の別はストレスを受ける人の心身状態によっても左右されます。
たとえばある会社で同時に部長に昇進したAさんとBさんがいたとしましょう。
Aさんは仕事熱心で人望も厚く、将来を嘱望されている人材です。
Bさんは年功序列で昇進した典型的な人材。
自分でも部長という要職をこなせるかどうかの自信がありません。
この二人が受けるストレスは当然異なっています。
Aさんのほうはプレッシャーをバネにしてモチベーションを高め、より以上の能力を発揮しそうですが、Bさんの場合はプレッシャーが大きくのしかかり、それこそストレス病にかがってしまいそうな感すらあります。
同じ環境下のストレスでも、Aさんにとっては良性のストレスであり、Bさんにとっては悪性のストレスということになります。
ストレスが良性が悪性かは、受けるストレス刺激の種類ではなく、ストレスを受ける側の心身状態によって決まるのです。
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