酢大豆は痩せるのか?
ある有名な女性演歌歌手が、酢大豆を食べて痩せたというので話題になったことがあります。
いまでも、酢大豆はダイエット食品としてひそかに流行しているようですが、その科学的根拠となるといささか稀簿といわざるをえません。
酢の主成分は酢酸ですから、酸性の性質を持った食品ということになりますが、吸収されて体内に入るとアルカリ性の働きをするので、アルカリ性食品に数えられています。
筋肉をたくさん使った運動のあとでは、エネルギーとして使われた糖質の最終代謝物として、筋肉中に乳酸が大量に作られます。
この乳酸は血液中に排出され、尿と一緒に腎臓から体外に出されるとともに肝臓で処理されますが、乳酸の量があまりに多いときは、血液中にたまってしまいます。
そのため血液は酸性に傾き、疲労の原因になります。
こんなとき酢をとると、そのアルカリ作用によって血液が酸性になるのを防ぐ働きをしますので、疲労の回復、予防に役立つわけです。
疲れの出やすい夏場に「酢の物」をとるとよいといわれる根拠はここにあります。
しかし、肥満の原因である体脂肪を燃やす作用は、酢にはありません。
ダイエットの原則は栄養バランスのとれたカロリー制限ですが、栄養素のなかでも活性組織の重要構成分であるタンパク質は多めにとる必要があります。
普通の生活をする大人の一日のタンパク質必要量は、男性70g、女性60gが目安となっています。
大豆は植物性のタンパク質に富むので、食べる量が十分ならば減食中の活性組織の退化を防ぐ効果はあります。
さらに、ミネラルの中でもとくに大切な鉄分を多く含み、女性に多い鉄欠乏性貧血の予防に役立つこともたしかです。
しかし、体脂肪を燃やすような作用はありません。酢大豆を食べれば痩せるというのは誤りなのです。
もし酢大豆になんらかのダイエット効果があるとしたら、あまりおいしくもない酢大豆を食事の前にゆっくり噛んで食べていたおかげで、
噛むという行為により満腹感がある程度満たされて食事の量が減る……ということくらいかもしれません。
いずれにしろ、酢大豆そのものに、体脂肪を減少させるような働きはないのです。
ただし、減量法の二大原則である「減食」と「運動」の実行中に、大豆が偏った減食による栄養失調を防ぎ、酢が運動による疲労からの回復に役立つという補助的な意味はあると考えることはできるかもしれませんが、過大に評価してはいけません。
カロリー制限と運動が伴わなければ、どのような食べ物を食べても、痩せることはできません。
酢大豆は、正しいダイエットを補助するものではあっても、決して主役ではないという点を間違えないでください。
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