豊かな食生活とは?
私たちの毎日の食事の目的は栄養補給だけではなく、人生をより豊かにするという、さらに大きな意味を持っています。
たとえば、食事のときに同席した人とのコミュニケーションをはかることで人間関係がよくなりますし、自分自身もくつろぎ、心身の休養をとることができます。
また、世界のいろいろな食事や食べ物についての情報は、私たちの知識欲を刺激し、旅行の楽しみを増してくれます。
食事を作る人にとっては、食事によって、それを食べてくれる人に愛情を示すことができます。
いかにおいしく、いかに美しく、いかにあたたかく…とくふうする楽しみは、その人にとっての生きがいにもなります。
このように、食事の豊かさはとても多様です。
それらがバランスよく満たされたとき、その人の食事はよりいっそうの健康の支えとなることでしょう。
そこで、ここではまず、具体的な栄養のとり方について述べる前に、食事がいかに多くの目的や役割を持っているかについて考えてみることにしましょう。
1999年のことだったと思いますが、NHKテレビで、いくつかの家庭の朝食風景が紹介されたことがありました。
そのなかのある家庭では、勤めに出る両親が仕事に必要な情報を収集するために新聞を熟読する姿と、ひとりの男の子がパンをかじる姿がありました。
そして、残りの二人の子供はまだふとんの中にいました。
このときのお父さんの発言は「家族でもそれぞれライフスタイルが違うのだから、こんな形になるのはやむを得ない」というものでした。
家族のライフスタイルを尊重するのはよいとしても、家族が顔を合わせ、団らんを楽しむひとときを犠牲にしてしまってよいのでしょうか。
夕食にしか家族全員が顔を合わせられないというのなら、それでもよいのです。
せめて一日に一度は家族でテーブルを囲み、会話をする機会を持ってほしいのです。
家族が家に寝るためだけに帰ってくる状態を「宿屋家族」と言うのだそうですが、家庭崩壊は、つきつめればこのような家族のコミュニケーション不足が原因で起きているのではないでしょうか。
それを考えると、家族そろっての食事の機会は、何よりも最優先したい生活習慣だと言えるでしょう。
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